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ある日突然私の舌に現れた赤い地図
あれは忘れもしない、仕事で大きなプレッシャーを感じていた時期のことでした。いつものように朝、歯を磨いていると、ふと舌に違和感を覚えたのです。鏡で恐る恐る確認してみると、舌の表面に、まるで大陸と海が描かれた世界地図のような、まだらな赤い模様ができていました。それだけでなく、舌先が常にピリピリとしていて、温かい飲み物や少し味の濃いものを口にするだけで、しみるような痛みを感じるのです。最初は口内炎か何かだろうと軽く考えていましたが、日を追うごとに模様の形が変わり、舌のあちこちを移動しているように見えました。赤い部分の縁は白っぽく縁取られていて、その見た目の奇妙さから、何か悪い病気ではないかと本気で心配になりました。インターネットで「舌、赤い、斑点、ピリピリ」と検索すると、様々な病名がヒットし、余計に不安が募るばかりです。食事のたびに痛みを感じるため、だんだんと食べることも億劫になっていきました。特に香辛料のきいた料理や酸味の強い果物は、舌に激痛が走るため完全に避けるようになりました。友人との外食も、メニュー選びに気を使うあまり心から楽しめません。このままではいけないと思い、まずは生活習慣を見直すことにしました。睡眠時間をしっかり確保し、ストレスの原因となっていた仕事の進め方を変えてみることに。また、栄養バランスを考えた食事を心がけ、刺激の強い食べ物は徹底して避けました。すると、不思議なことに、数週間もすると舌のピリピリ感は少しずつ和らぎ、赤い斑点も薄くなっていったのです。完全に消えたわけではありませんが、日常生活に支障がないレベルまで回復しました。この経験を通して、舌は正直な体のバロメーターなのだと痛感しました。今でも疲労が溜まると、時々あの赤い地図が舌に現れることがあります。それは私にとって、少し休みなさいという体からのサインなのです。