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ドライソケットになりやすい人の危険因子
親知らずの抜歯後、多くの人が経験する痛みとは一線を画す、耐え難い激痛。それがドライソケットです。抜歯した穴が血液の塊である「血餅」で正常に覆われず、骨が剥き出しになってしまうこの症状は、誰にでも起こりうるわけではありません。実は、ドライソケットには明確になりやすい人の特徴、つまり危険因子が存在します。まず、最もリスクが高いとされるのが喫煙者です。タバコに含まれるニコチンには血管を収縮させる作用があり、抜歯した部分の血流を悪化させます。これにより、そもそも血餅が作られにくくなったり、傷の治りが遅れたりします。また、タバコを「吸う」という行為そのものが口の中の圧力を変化させ、できたばかりのデリケートな血餅を剥がしてしまう物理的なリスクも伴います。次に、女性は男性に比べてドライソケットになりやすいと言われています。これは女性ホルモン、特に経口避妊薬（ピル）に含まれるエストロゲンの影響が指摘されています。エストロゲンには血餅を溶かす作用（線溶作用）を促進する働きがあるため、血餅が早期に失われやすいと考えられているのです。抜歯そのものの難易度も大きな要因です。下の親知らず、特に横向きに埋まっているような難抜歯のケースでは、歯茎の切開や骨の切削が必要となり、手術時間が長引きます。組織への侵襲が大きいほど、炎症が強く出たり、血餅が安定しにくくなったりするため、ドライソケットのリスクは高まります。さらに、口の中の衛生状態が悪い人も注意が必要です。口内に細菌が多いと、感染のリスクが高まり、血餅が正常に形成されるのを妨げることがあります。過去にドライソケットになった経験がある人も、体質的にリスクが高いと考えられます。これらの危険因子に自分が当てはまるかを知っておくことは、抜歯後の過ごし方をより慎重に計画し、あの激痛を避けるための第一歩となるのです。