歯周病は、日本人の成人の約8割が罹患していると言われる国民病です。進行すると歯を支える骨が破壊され、最終的には歯を失う原因にもなります。日々の丁寧な歯磨きが最も重要ですが、歯ブラシだけでは届きにくい歯周ポケットの奥深くや、歯並びの悪い部分に潜む歯周病菌を完全に除去することは困難です。ここで、歯科医が歯周病予防の有効な補助ツールとして推薦するのがマウスウォッシュです。マウスウォッシュが歯周病予防に果たす役割は、主に「細菌の抑制」と「炎症の緩和」にあります。歯周病は、歯周病菌という特定の細菌が歯と歯茎の間に蓄積し、炎症を引き起こすことで進行します。歯科医推薦のマウスウォッシュには、これらの歯周病菌に対して高い殺菌効果を持つ成分が含まれています。例えば、CPC(塩化セチルピリジニウム)やIPMP(イソプロピルメチルフェノール)、CHX(クロルヘキシジン)などの成分は、細菌の細胞膜を破壊したり、その増殖を抑えたりすることで、口腔内の細菌数を減少させます。これにより、歯周ポケット内の細菌の活動が抑制され、歯茎の炎症が悪化するのを防ぐ効果が期待できます。また、一部のマウスウォッシュには、グリチルリチン酸ジカリウムなどの抗炎症成分が配合されており、すでに生じている歯茎の腫れや出血を和らげる効果も持ち合わせています。これは、歯周病の初期症状である歯肉炎の改善に特に有効であり、病状の悪化を防ぐ上で重要な役割を果たします。ただし、マウスウォッシュはあくまで補助的なケアであり、進行した歯周病を治癒させることはできません。重度の歯周病の場合、歯科医院での専門的な治療(スケーリングやルートプレーニング、外科処置など)が不可欠となります。マウスウォッシュは、これらの専門治療の効果を維持し、再発を予防するための日常的なケアとして位置づけられます。歯周病予防のためにマウスウォッシュを選ぶ際には、有効成分の種類と濃度を確認することが重要です。歯科医に相談し、ご自身の歯周病の状態やリスク因子に合わせて最適な製品を選ぶのが最も確実な方法でしょう。
歯科医が語るマウスウォッシュと歯周病予防の密接な関係