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掻爬（そうは）再掻爬という治療の選択肢
ドライソケットの治療法として、洗浄と薬剤の充填が一般的ですが、症状が改善しない場合や、より積極的な治癒を促すために、歯科医師は「掻爬（そうは）」あるいは「再掻爬（さいそうは）」という、もう一歩踏み込んだ治療法を選択することがあります。この言葉だけを聞くと、少し怖いイメージを持つかもしれませんが、その目的とプロセスを理解すれば、有効な治療選択肢の一つであることが分かります。掻爬とは、簡単に言えば「抜歯した穴の中を、もう一度きれいに掃除し、意図的に出血させること」です。ドライソケットは、抜歯窩を守るべき血の塊（血餅）が失われた状態です。そこで、この失われた血餅を、もう一度作り直させるというのが掻爬の目的です。まず、治療は十分な局所麻酔のもとで行われるため、処置中に痛みを感じることはありません。麻酔が効いたことを確認した後、歯科医師はキュレットと呼ばれるスプーン状の専用器具を用いて、抜歯窩の壁や底を優しく掻き出します。これにより、感染してしまった不良な組織や、治癒を妨げている古い組織片などをきれいに取り除きます。そして、この掻爬という刺激によって、健康な骨の表面から新鮮な血液が再び抜歯窩に流れ込んできます。この新鮮な血液が、新しい血餅の材料となるのです。新しくできた血餅が、今度こそ失われないように、抜歯窩をガーゼで圧迫したり、場合によっては傷口を縫い合わせたりして、血餅の安定化を図ります。掻爬は、いわば治癒のプロセスを一度リセットし、ゼロからやり直させる治療法です。薬剤を詰める対症療法的なアプローチに比べ、より根本的な治癒を目指す治療と言えるでしょう。ただし、全てのケースで掻爬が必要なわけではありません。患者さんの全身状態や、ドライソケットの程度、そして洗浄と投薬による治療への反応などを総合的に判断し、歯科医師が必要と認めた場合にのみ行われます。もし、あなたの歯科医師がこの治療法を提案してきたなら、それはあなたの辛い症状を根本から改善するための、前向きな選択肢であると理解してください。