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安全な検査のために歯科医師と放射線技師が連携すべき理由
インプラント治療を受けている患者がMRI検査などの精密検査を必要とする場面は高齢化社会の進展と共にかつてないほど増加しています。かつては歯科は歯科医科は医科と明確に分断されていましたが現代医療においては両者の連携が患者の安全を守る最後の砦となっています。なぜなら口腔内の状態を最も把握しているのは歯科医師であり検査機器の特性とリスクを熟知しているのは放射線科医や診療放射線技師だからです。この両者の間で正確な情報共有がなされない場合患者は不必要なリスクに晒されたりあるいは受けられるはずの検査を拒否されたりする不利益を被る可能性があります。多くの総合病院や検査センターでは安全管理のために厳しいチェックリストを設けています。その中には体内金属の有無という項目が必ず存在しインプラントもその対象となります。ここで問題となるのが材質の詳細です。患者本人がインプラントですと申告してもそれが純チタンなのか合金なのかあるいは磁石が使われているのかまでは把握していないケースが多々あります。情報が不明確な場合放射線技師は安全を最優先して検査を中止せざるを得ないことがあります。このような事態を避けるために歯科医師は治療終了時に患者に対して自分の体に入ったものの詳細を記した資料を渡しその重要性を説明しておく義務があります。また検査が必要になった段階で患者から相談を受けた歯科医師は速やかに医科の主治医や放射線科に対して診療情報提供書を作成すべきです。そこには単にインプラントが入っていますという記述だけでなく使用されている金属の種類上部構造の固定方法可撤式装置の有無そしてMRI検査に対する歯科医師としての見解を明記することが望まれます。例えば上部構造はスクリュー固定式であり必要であれば外すことが可能ですとか磁性アタッチメントを使用しているため検査前に処置が必要ですといった具体的な情報は検査プランを立てる上で極めて有用です。一方放射線技師の側にも歯科インプラントに対する最新の知識が求められます。一昔前であれば金属があれば即NGという判断もありましたが現在では条件付きで検査可能というケースが増えています。インプラントによるアーチファクトがどの程度発生しそれが今回の診断目的である部位に影響するかどうかを予測し医師と相談しながら撮影の可否を判断する専門性が問われます。場合によっては歯科医師に問い合わせて口の中の金属パーツを一時的に除去してもらうよう依頼するなどのコーディネートも必要になります。