フェイスラインのエラあたりに痛みを感じた時、多くの人が「顎関節症かもしれない」と不安に思うかもしれません。しかし、その痛みが「顎関節症」によるものなのか、それとも単なる「咬筋の筋肉痛」なのかを見分けるには、いくつかのポイントがあります。両者は原因も対処法も異なるため、自分の症状を正しく理解することが大切です。まず、痛みの場所に注目しましょう。「咬筋の筋肉痛」の場合、痛みは主にエラのあたり、つまり奥歯を噛みしめた時に硬く盛り上がる筋肉の部分に集中します。押すと凝っているような、鈍い痛みを感じるのが特徴です。一方、「顎関節症」の痛みは、耳のすぐ前にある顎関節そのものや、その周辺に感じることが多くなります。次に、口の開け閉めをチェックしてみましょう。顎関節症の代表的な症状は、口を開けたり閉じたりする時に「カクカク」「ジャリジャリ」といった音が鳴ること(クリック音・クレピタス音)、そして口がまっすぐ開かずに左右にずれたり、そもそも大きく開けられなくなったりする「開口障害」です。咬筋の筋肉痛だけでも口が開きにくくなることはありますが、関節の音を伴う場合は顎関節症の可能性が高まります。また、痛みの性質にも違いがあります。咬筋の筋肉痛は、筋肉の疲労や凝りが原因なので、マッサージや温めることで症状が和らぐことがあります。しかし、顎関節症で関節円板のずれや関節の炎症が起きている場合、自己流のマッサージはかえって症状を悪化させる危険性があります。まとめると、痛みがエラの筋肉部分に限定され、関節の音や明確な開口障害がない場合は、咬筋の筋肉痛である可能性が高いと考えられます。逆に、耳の前あたりが痛み、口の開け閉めで音が鳴ったり、口が開きにくかったりする場合は、顎関節症が疑われます。ただし、これらはあくまで一般的な目安です。咬筋の緊張が顎関節症を引き起こすこともあり、両方の症状が混在しているケースも少なくありません。正確な診断のためには、自己判断せず、歯科や口腔外科を受診することをお勧めします。