プラークコントロールという言葉を、歯科医院やテレビのコマーシャルで耳にしたことはありませんか。これは、お口の健康を維持するために最も基本的で、そして最も重要な考え方です。多くの人は、歯に付着する白いネバネバしたものを単なる食べかすだと思っていますが、それは大きな間違いです。その正体は「プラーク」、日本語では「歯垢」とも呼ばれる細菌の塊なのです。プラーク１ミリグラムの中には、実に数億から十億個もの細菌が生息していると言われています。このプラークは非常に粘着性が高く、水でうがいをする程度では全く除去できません。そして、この細菌たちが作り出す酸によって歯が溶かされるのが「虫歯」であり、細菌が出す毒素によって歯ぐきに炎症が起きるのが「歯周病」です。つまり、お口の二大疾患である虫歯と歯周病は、どちらもプラークが直接的な原因なのです。プラークコントロールとは、この病気の元凶であるプラークの量を減らし、その活動を抑制するためのあらゆる行為を指します。その中心となるのが、日々の歯磨きです。歯ブラシや歯間ブラシ、デンタルフロスなどを使って、歯の表面に付着したプラークを物理的にこすり落とすこと。これこそがプラークコントロールの核心です。お口の健康は、ただ口の中だけの問題ではありません。全身の健康にも深く関わっています。そのすべての基本となるプラークコントロールの正しい知識を身につけることが、生涯にわたって自分の歯を守り、健康な生活を送るための第一歩となるのです。