健康診断のオプションで脳ドックを受けることにした時の話です。私は数年前に右下の奥歯を失いインプラント治療を受けていました。普段の生活では自分の歯と同じように噛めるため口の中に人工物が入っていることを忘れてしまうほど馴染んでいました。しかし脳ドックの予約をする際に電話口で担当の方から体内金属の有無について詳しく聞かれたことでハッとしたのです。心臓ペースメーカーや人工関節などと並んで歯科インプラントの有無を確認された私は正直にインプラントが入っていることを伝えました。すると担当の方は少し声のトーンを変えて当日は必ずインプラントの種類や素材がわかるものを持参してくださいと言いました。もし詳細がわからない場合は検査をお断りすることもありますと告げられ急に不安が押し寄せてきました。電話を切った後私は慌てて家の中を探し回りました。治療を受けた時に歯医者さんから何やらカードのようなものを貰った記憶があったからです。書類ケースの奥から出てきたのはインプラントカードという小さなカードでした。そこには私の名前と共に使用されたインプラントのメーカー名や直径長さそしてロット番号などが細かく記載されていました。これがあれば大丈夫だろうと思いつつも念のため当時治療をしてくれた歯科医院にも電話をかけました。受付の方に事情を話しMRI検査を受けても大丈夫かと尋ねると院長先生に確認してくれました。先生からの伝言はチタン製なので基本的には問題ありませんが画像が少し乱れる可能性がありますと伝えてくださいとのことでした。その言葉を聞いて少し安心しましたが同時に検査結果に影響が出るかもしれないという新たな懸念も生まれました。検査当日病院の受付で問診票を記入し持参したインプラントカードを提出しました。放射線技師の方はカードを見てメーカーを確認しこれならチタン製なので検査自体は安全に行えますと説明してくれました。しかし続けてやはり口元に近い部分の画像は金属の影響で乱れることがあるため脳の血管などを詳しく見る際に一部見えにくい箇所が出るかもしれないことは了承してくださいと念を押されました。私は承諾書にサインをし検査着に着替えて検査室へと向かいました。MRI室は独特の冷たい空気が漂っており大きな筒状の機械が鎮座していました。台に横たわり頭を固定されると工事現場のような大きな音が鳴り響く中での撮影が始まりました。検査中は目を閉じてじっとしていましたが心なしか右顎のあたりが少し温かいようなむず痒いような感覚がありました。もしかして熱を持っているのではないかと不安になりましたが痛みというほどではありませんでした。後で聞いた話では磁場が変化することで微弱な電流が生じることがあるそうですが火傷をするようなレベルではないとのことでした。検査は30分ほどで無事に終了し気分が悪くなることもありませんでした。結果説明の際医師が見せてくれた脳の断面画像には確かに口に近い下の方の部分に黒い影のような歪みが写っていました。
脳の検査を受ける際にインプラントの申告が必要だった私の体験