もう何年も、私は唇のふちの荒れに悩まされていました。唇そのものは大丈夫なのに、なぜか輪郭に沿って赤くなり、細かく皮がむけて、時にはヒリヒリと痛むのです。リップクリームは常に持ち歩き、一日に何度も塗り直していました。ワセリンが良いと聞けば試し、高価な美容液リップも使ってみましたが、その場しのぎでしかなく、根本的な解決には至りません。特に口角から上唇の山にかけての部分がひどく、口紅を塗ってもきれいに乗らず、まだらになってしまうのが大きな悩みでした。見た目もみっともないし、食事の際に醤油などがしみるのも苦痛でした。皮膚科にも行きましたが、「乾燥による口唇炎でしょう」とステロイド軟膏を処方されるだけ。確かに塗れば一時的に良くなるのですが、やめるとすぐに元に戻ってしまうのです。半ば諦めかけていた時、ふとしたきっかけで自分の癖に気づきました。それは、考え事をしている時や、緊張している時に、無意識に唇をぎゅっと噛み締めたり、唇のふちを舌で舐めたりする癖でした。特にマスク生活が始まってからは、人目を気にしなくてよくなった分、その癖がひどくなっていたように思います。もしかして、これが原因なのでは。そう考えた私は、まず意識的に唇を舐めるのをやめることから始めました。そして、もう一つ変えたのが、歯磨き粉です。それまで爽快感の強いミント系のものを使っていたのですが、刺激の少ないジェルタイプの子供用歯磨き粉に切り替えてみました。さらに、リップクリームの塗り方も見直しました。唇の中央だけでなく、輪郭からはみ出すくらいに、指で優しく円を描くように塗り込むようにしたのです。すると、驚くことに、一週間ほどで唇のふちの赤みとヒリヒリ感が和らいできました。二週間、一か月と続けるうちに、あれほどしつこかった皮むけもほとんどなくなり、口紅がきれいに引けるようになったのです。長年の悩みから解放された瞬間でした。私の場合は、無意識の癖と、日用品による刺激の蓄積が原因だったようです。同じ悩みを持つ方は、一度ご自身の何気ない習慣を見直してみてはいかがでしょうか。