私は数年前、右下の奥歯に耐え難い痛みを感じて近所の歯科医院を受診しました。レントゲンを撮った結果、過去に治療した根の先に大きな膿の袋ができており、医師からは「根が割れている可能性もあり、保存は難しい。抜歯してインプラントかブリッジを検討すべきだ」という非情な宣告を受けました。まだ30代だった私は自分の歯を失うショックが大きく、何とか残す方法はないかと必死にインターネットで検索を続け、根管治療の専門医が行う自由診療に辿り着きました。最初のカウンセリングで提示された見積もりは、根管治療費だけで12万円、さらに土台とセラミックの被せ物を合わせると合計で25万円を超えるという、当時の私にとっては驚愕の金額でした。保険診療なら数千円で済むはずの「掃除」に、なぜこれほどの大金を払う必要があるのかと最初は悩みましたが、専門医の説明を聞くうちに考えが変わりました。私の症例は非常に複雑で、保険診療の限られた時間内では根の先まで確実に洗浄することが難しく、再発率が50パーセントを超えること。対して、マイクロスコープとCTを駆使した自由診療であれば、成功率は90パーセント近くまで高められること。もし抜歯してインプラントを選べば、手術費や本体代で40万円から50万円以上の費用がかかり、しかも自分の歯と同じ感触を取り戻すことはできないということ。これらの事実を天秤にかけたとき、25万円という費用は決して高くはない、むしろ自分の歯を救うための「最後の投資」であると確信したのです。実際の治療は非常に丁寧で、合計3回の通院で1回につき1時間半以上の時間をかけて徹底的に根の中を洗浄してもらいました。治療中の痛みは全くなく、マイクロスコープで撮影された自分の歯の内部を見せてもらいながら、いかに複雑な迷路を掃除しているかを目の当たりにしました。現在、その歯は全く問題なく機能しており、硬いものも不自由なく噛めています。あのとき、費用の安さだけを優先して安易に保険での再治療や抜歯を選んでいたら、今頃はインプラントのメンテナンスに追われていたかもしれません。自由診療の費用は一時的な出費としては重いものですが、失った歯は二度と戻らないという現実を考えれば、私にとって人生で最も納得感のある買い物だったと言えます。
抜歯を避けるために私が自由診療の根管治療を選んだ理由